#026_1「『おうち薬膳』で体温アップ」

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寒い冬は、体力が衰えやすい季節。今月のFeaturesでは、からだの基礎力アップを応援してくれる食習慣を、さまざまな角度から3回に渡ってご紹介していきます。 1回目に取り上げるのは、体質や環境に合った食事を摂ることで体調を整えていく「薬膳料理」。薬膳の知恵から、多くの女性にとって悩みの種である「体の冷え」を克服するヒントを探っていきましょう!

「温める食材」、「冷やす食材」
薬膳料理で健康的なからだを目指すために。まず、食材には5つの性質があることを学びましょう。
① 熱性 (からだを強く温める) にんにく、唐辛子、こしょう、シナモン、乾燥しょうがなど
② 温性 (からだを適度に温める) かぼちゃ、鶏肉、ねぎ、しそ、春雨、生しょうがなど
③ 平性 (からだを温冷に偏らせない) 白菜、米、牛・豚肉、りんご、アーモンドなど
④ 涼性 (からだを適度に冷やす) 大根、もやし、小麦、タコ、梨、ウーロン茶など
⑤ 寒性 (からだを強く冷やす) きゅうり、たけのこ、しじみ、柿、バター、しょうゆなど
知らないと落とし穴!? 食材の選び方
features011_1_image_1 1、「温性」+「平性」が冷え対策には◎ からだを温めたいなら、温める力がもっとも強い「熱性」の食材がいいのでは?と思いがち。ところが熱性の食材は作用力が強い分だけ、摂りすぎると喉の渇きやイライラの原因になることも。そのため、日ごろの食生活に摂りいれる冷え対策には、「温性」と「平性」の食材がおすすめです。 「熱性」の食材は、「涼性」の食材と組み合わせてバランスを取ったり、からだが極端に冷える時に摂るようにしましょう。 2、調理の仕方で性質は「変わる」! しょうがは生だと「温性」だけれど、乾燥させると「熱性」に。 にんにくは丸ごとだと「熱性」だけれど、すりおろすと「温性」に。 大根は生だと「涼性」だけれど、火を通せば「温性」に……。 このように、食材は調理の仕方でその性質を変えることがあるので、体調に合わせて調理方法を変えるのも薬膳の知恵。また、温かい食事自体に体を内側から温める作用があるので、冷えに悩む季節は加熱後の温かい食べ物を摂るようにするといいでしょう。 3、薬膳料理にマスト。「生薬」の色々 features011_1_image_1 古くからからだへの薬効をもつとされてきている「生薬」は、薬膳料理に欠かせないもの。高麗人参ナツメクコの実八角シナモンウコンなどが有名です。 また、にんにくしょうが唐辛子ごまはちみつなど、食卓にある一般的な食材の中にも、生薬に分類されるものがあることをご存じでしたか? 生薬は手に入りにくいものとは限らず、また、食材の選び方や調理の仕方も「薬膳」の一部と考えると、敷居が高く見えていた薬膳料理にも挑戦してみやすいのでは?
「温活」にオススメ。おうち薬膳レシピ
①「キヌア入り春雨マーボー大根」

〈Point〉 大根には、肺の機能を高める効果が。呼吸が深くなることは代謝のアップにもつながるので、体温が下がりがちな冬にぴったりの食材。生のままだと「涼性」ですが、火を通すことで「温性」に変わります。

■ 材料(2人分)

・大根(400g)・春雨(30g)・豚ひき肉(150g)・小松菜(一束)・チンゲン菜(一束)・キヌア(10g)・にんにく(少々)・しょうが(少々)・ネギみじん切り(大さじ2)・サラダ油(大さじ1)・豆板醤(小さじ1/2)・八角(1個)・トウチ(10g) (A)・水(大さじ2)・酒(大さじ1)・醤油(大さじ2)・塩(小さじ1/2)・こしょう(少々) (B)・片栗粉(小さじ2(水小さじ4で溶く))・ごま油(小さじ1)

■ 作り方

 1)春雨は熱湯で柔らかくなるまで戻し、キヌアは熱湯で20分茹でる。 2)大根を2センチ角の角切りにし、片栗粉をまぶしたら、170°に熱した油で串が通るまで揚げる。 3)小松菜とチンゲン菜は、3等分の長さに切る。 4)サラダ油を熱したフライパンに、擦りおろしたにんにくとしょうがを入れ、香りが立ったら豚ひき肉を加えて炒める。 5)豚ひき肉に火が通ってきたら、豆板醤・八角・トウチ・ネギのみじん切りと(A)の調味料を加え、5分くらい煮込む。 6)さらに、大根・春雨・小松菜・チンゲン菜・キヌアを入れ、炒め合わせる。 7)最後に(B)の水溶き片栗粉でとろみをつけ、仕上げにごま油を鍋の淵に回しかけて、出来上がり。
②「豆乳と生姜の葛粉ドリンク」

〈Point〉 「温性」の擦りおろししょうがと「平性」の豆乳に、「熱性」のシナモンと「涼性」の葛粉を合わせた、穏やかにからだを温めてくれるドリンク。少し甘みを加えたい時は、栄養価の高いはちみつ(平性)がおすすめです。

■ 材料(2人分)

豆乳(400cc)・シナモンスティック(適量)もしくはシナモンパウダー(小さじ1)・しょうが(擦りおろし大さじ1)・葛粉(10g(水大さじ2で溶く))

■ 作り方

 1)豆乳とシナモンを鍋に入れ、じっくり弱火にかける。 2)ふつふつとしてきたら、擦りおろしたしょうがを入れる。 3)沸騰したら、水で溶いた葛粉を入れる。
食材の持つ性質が「温めるタイプ」なのか、「冷やすタイプ」なのか、少し考えてメニューや食材を選ぶだけでも、からだの体質は少しずつ理想に近づいていくはず。みなさんも是非、毎日の食生活に「薬膳」の考え方を取り入れてみてくださいね。 次回は今ますます注目が集まっている「スーパーフード」の中から、悩みやシチュエーション別におすすめの食材を、その食べ方と一緒にご紹介いたします。どうぞお楽しみに!
〈取材協力・レシピ提供〉
ORIENTAL Recipe Café