#038_1「丁寧に暮らす、丁寧に生きる。エシカルという選択」

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日々、美味しいコーヒーを飲んだり、肌触りの良い服を着たり、心地よさを感じるスキンケアを選んだり。自分なりのこだわりで構成された“丁寧な暮らし”は、私たちの小さな選択の積み重ねで出来ているもの。 今月のFeaturesでは、みなさんそれぞれの“丁寧な暮らし”に新しい視点と価値をもたらすかもしれない「エシカルな選択と暮らし」について特集します。

「エシカル」とは?

エシカルを日本語に直訳すると、「道徳的な、倫理にかなった」という意味になります。 買い物をするとき、ご飯を食べるとき、水や電気、ガスなどの資源を使うとき、そして物を捨てるときまで、生活のあらゆるシーンで私たちは“エシカルな行動”をとることができます。 エシカルな行動とは……? 実は、その内容はとても広く、具体例も挙げればきりがないほどです。 その中でも、私たちの一番身近にあるエシカルの一つとして今推進されているのが“エシカル消費”です。それは、私たちの日々の買い物で、世界の課題解決に加担していくという取り組みを意味します。 エシカル消費にも、さまざまな目的や手段があります。たとえば、「環境に配慮した消費」「生産者の人権に配慮した消費」「地域活性に配慮した消費」など。今回はその一部について、なぜ大切なのか、私たちに何ができるのかを、ほんの一部ですがご紹介します。


エシカルな選択#1
「自然環境に優しいモノを選ぶ」
日本人は今、地球が資源を自然に回復するスピードの2.5倍の速さで、地球の資源を消費していると言われています。 また、安価な大量生産のせいで起こる環境被害も大きな課題です。中でも群を抜いて問題視されているのが、農薬や化学肥料が大量に使用されているコットン栽培の現場。環境だけでなく生産者たちの健康も著しく脅かしています。

〈環境に配慮したエシカルチョイス&アクションの一例〉
・商品に表示されている認証マークの意味を調べてみる。 ・オーガニックコットンや自然栽培の野菜などを選択する。 ・食品ロスを防ぐため、店頭では消費期限の迫った品物から購入する。


エシカルな選択#2
「人権を守って作られたモノを選ぶ」
普段はつい「安くて良い物」を求めてしまいがちですが、「なぜこんなに安く作ることができるのか?」と考えてみたときに、一つ一つのモノや原料の背景に、想像を絶するような悲惨な労働環境が見えてくることがあります。 洋服、食品、チョコレートやコーヒーなどの嗜好品、ジュエリーから携帯電話の部品になる鉱物に至るまで、身近な食料や日用品が、どこでどうやって誰によって作られたのか、「見えないものを見る」想像力を働かせる一瞬が、アンフェアな世界に対して行える1つ目のアクションです。

〈人権を考慮したエシカルチョイス&アクションの一例〉
・公正な条件下で国際貿易をされている「フェアトレード」の商品を選択する。 ・バイコット(社会問題や環境問題に取り組んでいる商品を選んで購買する活動) ・商品がどこでどうやって作られたのか、調べたりお店の人に問い合わせてみたりする。(消費者の疑問や発言が、企業を変える大きな影響力になります。)

エシカルな選択が、自分を象る価値基準に。

今回お話したエシカルな消費活動以外にも“倫理的な選択”を意味するエシカルな活動はさまさまです。 たとえば動物福祉の活動、リサイクル活動、多様性を大切にするコミュニケーション活動、財産を預ける金融機関の選択(エシカル金融)などなど……。エシカルな選択・活動の幅に限りはない、と言っても過言ではないかもしれません。 その中には自分の関心やライフスタイルにピタリと当てはまる“エシカル”がきっとあり、だからこそエシカルは誰にとっても親しみやすい価値で、身近な選択肢なのだと思います。
毎日の中で、自分の生活を支えてくれる社会や環境への影響を考えた選択をしていくことは、自分の暮らしや生き方により広い視野と深い価値観をもたらしてくれるはず。 エシカルな選択は“誰かのため”ではなく、自分の日常を象る価値基準の一つとして取り入れていくことができそうです。 次回はエシカルにまつわる疑問や、エシカルな選択の実行アイディアを、Q&Aスタイルでお届けします。お楽しみに!


参考文献:はじめてのエシカル/末吉里花 取材協力:末吉里花(一般社団法人エシカル協会代表理事)