THREE ESSENTIAL SCENTS R〈 SPECIAL INTERVIEW Vol.2 〉
シェフ・田井將貴
マインドに寄り添うアロマフレグランス「エッセンシャルセンツ」が、香りと装いをさらに進化させてリニューアル。国内外で経験を積み、多彩な感性で料理に向き合うシェフ・田井將貴さんに、香りと食の関係性や香りの体験、自然由来のものに惹かれる理由を聞いた。
常に隣にある「香り」の存在
—普段、香りをどう取り入れていますか?
自宅に友人を招いた日はキャンドルを焚いたり、出かける前に香水を纏ったり。また、いい香りのハーブが手に入ったときには、フレッシュな状態や乾燥させたものを燻して、オリジナルの薫香のように楽しんでいます。香りは、そのとき一緒にいる人や空間、流れる時間、そして自分の気持ちに沿って取り入れるようにしていますね。仕事に行くときに香水をつけることはありますが、自分を演出する香りではなく、あくまでさりげない、気分に合った香りを選んでいます。
—料理における香りの役割とは?
“味つけ”の役割があります。たとえば、香りのいい人参はより甘さを感じるので、あえて甘みを活かした仕上がりに。また同じ料理でも、香りを足すことで新しい味の体験ができます。素材の良さを引き出すためにも、一歩先の食体験をつくり出せるのも香りの力。料理には、食べる前に漂うものと、口に含んだときに広がる2パターンの香りがあるので、香りのタイミングを考慮して料理するのもおもしろいですね。
ハーブのエネルギーを香りとともに堪能
—リニューアルした「エッセンシャルセンツ」はどうでしたか?
風通しのよい香りで、自分の好みにぴったりでした。さまざまな自然の環境に自分がいるような、どこか落ち着く感覚があります。特に、ベースになっているゼラニウムの香りが好きで、以前、知人から大量のゼラニウムをもらったときには、袋に顔を突っ込んで思いっきり深呼吸したほど(笑)。自然のエレメントに着想を得た「エッセンシャルセンツ」のリラックスした香調は、自分にすっと馴染む気がしました。
—「エッセンシャルセンツ」に使用しているゼラニウムは、THREEの無農薬ハーブ園で育てたもの。田井さんも無農薬ハーブをお使いですが、その魅力は何ですか?
香りの高さはもちろん、茎の太さや葉の厚み、色の濃さなど、無農薬で育ったハーブはかなりパワフル。料理に負けない、そのエネルギーがとても魅力的です。また、そのハーブに適した土や環境で育っていれば、より個性が際立ちます。ほかの植物や野菜にも言えることですが、どこでどのように育てられたかによって、香りも味も見た目も変わる。さまざまなな種類を試してきましたが、料理には、無農薬で凛々しく育ったハーブを選びたいです。
—お気に入りの香りは?
取材を受けた前日は少し雨がぱらつく曇り空で、当日はカラッとした晴天。そんな朝に纏った、05 AFTER THE RAINに心を奪われました。でも、もっと太陽が高く昇る昼頃には00 WRITTEN IN STONEで気持ちをリセットしてみるのもいいかも。午後からはまた別の香りを重ねて、その日の流れや気分に合わせて香りを変えていく楽しみ方もアリだなと思います。思いつきや気持ちの移り変わり、天気次第で香りを変えたり、レイヤードして自分なりの楽しみ方を見つけるのもすてきですね。
香りとのいい関係を築いて
—印象に残っている香りの体験はありますか?
以前、香りのブランドをディレクションしている友人に誘われて、香りと料理のペアリングをするイベントに参加したことがあって。たとえば、紫蘇やジュニパーの香りが入って完成する料理からその2つの要素を引いてワイングラスに纏わせ、香りは別で提供。つまり、香りと料理の両方を味わわないと完成しない仕組み。これは食における、香りの新しい体験でしたし、いい刺激になりました。また機会があったらチャレンジしてみたいです。
—ご自身で纏う香りのこだわりを教えてください。
自分が纏う香りは、できるだけ天然の原料のみでつくられたものを選ぶようにしています。精油もいくつか持っていて、気分やその日の予定に合わせて空間に漂わせたり、自分で楽しんだりと使い分けています。「エッセンシャルセンツ」は、ゼラニウムをはじめとした精油100%で香りが構築された香水というところで、僕の好みとかなりマッチ。今日このあとは、04 SPIRIT OF EDENをひと吹きして午後の仕事に向かおうと思います。
田井 將貴(シェフ)
1995年、大阪生まれ。幼少期から料理に親しみ、大阪・イタリアで経験を積む。帰国後、長野の『職人館』、東京・目黒の『kabi』を経て、コペンハーゲンのレストランでシェフとして活躍。現在は日本に拠点を移し、『ØC tokyo』のレシピ監修や他ジャンルとのコラボにも取り組んでいる。
@masaki_tai
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@octokyo2024